【弁護士が対応】福岡・天神で借金問題(債務整理)の相談は弁護士法人米盛法律事務所に > 債務整理コラム > 自己破産(破産手続・免責手続)の流れと 免責不許可になったときの対応について

自己破産をするには破産申立と免責申立を行い、裁判所から破産手続開始決定と免責許可決定を受けることが必要です。その間では弁護士による受任通知の発送や債権者集会、免責審尋、配当なども必要に応じて行われ、1年以上の期間を要することもあります。

 

どのように手続が進行していくのか、基本的な流れについてここで紹介します。

 

 

破産と免責について

破産手続と免責手続は通常一連の手続として進むため、まとめて「自己破産」と呼ばれることも多いですが、それぞれ異なる手続です。

 

  • 破産手続:債務者が経済的に破綻してしまい、すべての債権者に対する債務を返せなくなった場合に、全財産(生活に欠くことのできないものは除く)を換価して債権者に公平に弁済する手続。
  • 免責手続:破産手続によっても返せなかった債務について、法的責任を消滅させるための手続

 

自己破産完了までの流れ

自己破産の手続全体が完了するまでには、破産の申立や免責の申立、そして裁判所による破産手続開始決定と免責許可決定が必要です。無条件でもありませんので、審理をするための調査や審尋なども行われ、少なくとも全体で3ヶ月以上は必要です。配当まで行うときは1年以上かかることもあり、特に財産関係が複雑だと2年を超えるケースもあります。

 

以下で、これら手続を段階別に説明していきます。

弁護士への依頼と受任

自己破産の手続は債務者自身が進めることも可能です。ただし申立に必要な書類をすべて自分で管理し、破産法等に則り適切に作業を進めていかないといけません。債権者からの請求にも対応しながら各種手続を進行させ、裁判所に出頭して行う事情説明なども1人で対応しないといけません。

 

法律に強い方や自己破産に詳しい方でなければ対応が難しいです。また、対応方法がわかっている方でも専門家がついていると短い期間で手続を終わらせられるという利点があることから、多くのケースでは弁護士に相談・依頼するところから始まります。

 

弁護士に状況を説明すれば「自己破産をしなくても他に適している手段がある」などと提案がもらえることもありますし、まずは相談だけでもしてみると良いでしょう。

 

なお、弁護士が自己破産についての仕事を受任したとき、債権者に対して受任通知を行います。これによって債権者からの取立てを止めることも可能です。

破産申立

弁護士の受任後は債務者の財産状況や債務のことなどが調査されます。おおむね1ヶ月から2ヶ月ほどの期間を経て、その後破産手続を行うべきと評価できれば、地方裁判所で破産申立を行います。

 

破産申立の方法

申立先

申立先となる管轄裁判所は、住所地または居所を管轄する地方裁判所。住所地を原則基準としつつ、実際に住んでいる所が異なるときに居所を基準とする。

※居所で申立をするにはその理由を説明する必要がある。

申立書の作成

提出書面は裁判所や弁護士会などで入手できる。申立先の裁判所によって書式が異なることに注意。

債権者の一覧、破産に至った背景、現在の生活状況などを記載するとともに、その裏付けとなる資料を添付する。

費用の準備

申立用紙に収入印紙を貼付して印紙税を納める必要がある。破産申立に1,000円、免責申立に500円で、合計1,500円分を貼付。

また、郵便切手代も納付する。金額は裁判所により異なり、おおむね5,000円前後となる。

予納金も納める必要がある。官報公告費用として1,2万円ほどが、破産管財人が選任されるときはその費用として20万円~が発生する。

 

申立後、数週間経って債務者審尋が行われることがあります。この場合、裁判所に出頭して詳しい事情を説明します。

破産手続開始決定

申立内容に問題がなければ、申立から1ヶ月ほどで「破産手続開始決定」を裁判所が下します。

 

このとき配当をするだけの財産が残っていないのなら、①同時廃止事件として処理されます。一方、配当を行う見込みがあるときは財産の換価や債権調査などを職務とする破産管財人が選任されて②管財事件として手続が進行していきます。

 

  1. 同時廃止事件:破産手続開始決定と同時に破産手続が廃止され、すぐに免責手続へと移行する。配当を行わないため2,3ヶ月ほどで短期的に自己破産を完了させられる。
  2. 管財事件:破産手続開始決定と同時に破産管財人が選任されて、そこから債権者集会、債権確定、配当などを経て破産手続が終結。その後免責の手続に進む。半年以上、1年以上かかることも多い。

免責許可の判断

免責手続と破産手続は別物ですが、破産手続の申立が免責手続の申立も兼ねますので、破産手続と連動してそのまま免責の手続へと進みます。

 

まずは免責審尋が行われます。債務者(破産手続開始決定以後は「破産者」とも呼ばれる。)は裁判所に出頭して、尋ねられたことに正直に回答していきます。もし「債権者を害するために財産を隠していた」「浪費や賭博で財産を減少させた」などの事情が発覚したときは、免責不許可になる可能性が高くなります。

 

一方、免責不許可にすべき理由がなければ「免責許可決定」が裁判所から下されて、債務の支払い義務が消滅します。

※税金や罰金の支払い、故意に怪我をさせたことによる損害賠償、養育費の支払い、など一定の債務については免責を受けることができない。

 

免責不許可になったらどうする?

免責不許可事由があり債務の支払い義務を免れることができなければ、その後も債務による圧迫が続きます。このままだと経済的な再起を図ることも難しいでしょう。

 

免責不許可になった後の対応としては、①不服を主張して免責を認めてもらう、または②個人再生や任意整理で再建を図る、の大きく2つが挙げられます。

 

①が上手くいけば一番良いのですが、一度裁判所での審理を経て結論が出されている以上、なかなか結果を覆すことは難しいでしょう。ただし法令上も即時抗告の申立など不服を主張するための制度を設けていますし、申立をすれば再度免責許可について考えてもらうことは可能です。

 

免責ができないときは②により再起を目指します。個人再生が上手くいけば、債務の大幅な圧縮が期待できますし、債務超過の程度がそこまで大きくないときは任意整理で利息分をカットして立て直せることもあります。