法人破産・事業主破産に関する基礎知識や事例

法人・会社・事業等の破産を行う際の流れはどのようなものになっているのか、また、その際の弁護士費用の相場はどれくらいなのかというご質問を多数いただきます。
本ホームページでは、法人破産の流れや弁護士費用等のよくいただくご質問について解説しています。

法人破産の流れ

法人の破産の流れは大まかに分けると以下のようになっています。

破産手続開始申立ての準備

破産手続開始の申立て

破産手続開始要件の審査

破産手続開始決定・
破産管財人の選任

破産管財人への引き継ぎ

破産管財人による
管財業務の遂行

債権者集会

手続きの終了

STEP 1 破産手続開始申立ての準備

破産手続をする際にはまず、弁護士に相談・依頼をし、破産の具体的な方向性が決まり次第、弁護士と委任契約を締結し、弁護士から各債権者への受任通知が送付されます。受任通知を送付すると、貸金業者や債権回収会社からの取立てが停止されます。

その後、申立書類の作成、従業員への対応、事業所・店舗などのなどに使用している不動産の明渡し、取締役会が設置されている法人であれば、取締役会での破産の承認決議を得る必要があります。

STEP 2 破産手続開始の申立て

法人破産の申し立ては、主たる営業所の住所を管轄する地方裁判所に申立書を提出する方式で行います。

この申立書には,破産法で定められた債権者一覧表・財産目録・貸借対照表などのほか,裁判所指定の報告書や各種の書類を添付する必要があります。

STEP 3 破産手続開始要件の審査

裁判所から破産手続の決定を発令してもらうためには、破産法で定められた法律要件を充足している必要があります。
形式的な要件としては、a申立ての方式が適式であること、b申立人に申立権があること、c債務者に破産能力があること、d手数料を納付したこと、e裁判所の管轄が正しいことがあります。
実体的要件としては、a債務者に破産手続開始原因があること、b破産障害事由がないことです。

STEP 4 破産手続開始決定・破産管財人の選任

上記の破産手続開始の要件を充足していると判断されると、裁判所より破産手続開始決定が発令されます。

そして上記決定と同時に、破産管財人が選任されます。破産管財人には、申立てをおこなった裁判所の管轄地域内に所在する法律事務所に所属する弁護士が選任されます。(この際に選任される弁護士は、破産の依頼をした弁護士とは別の方だという点に注意してください。)

破産手続が開始すると、破産した法人・会社の財産の管理処分権が破産管財人へと移転し、以降は破産者自身がそれらの財産を勝手に処分することができなくなります。

STEP 5 破産管財人への引き継ぎ

破産手続開始後、代表者等は法人・会社の財産や書類などを破産管財人に引き継ぎ、引継予納金を納付します。
引継予納金は、破産管財人が破産管財人名義の口座を開設するため、そこに振り込みをして納付します。

手続開始後すぐに、破産管財人、破産者である法人・会社の代表者及び破産者代理人弁護士の3者による打ち合わせが行われます。

この打ち合わせでは、破産管財人からの質問に代表者が答える形となります。事案によっては代表者の他にも経理担当や現場担当の役員への参加が求められる場合もあります。

打ち合わせは1回のみではなく、破産業務が多岐にわたる場合には、必要に応じて複数回行われることもあります。

STEP 6 破産管財人による管財業務の遂行

破産管財人は、選任後すぐに破産管財業務に着手します。

破産管財業務には、破産者である法人・会社の財産の換価や債権調査、契約関係・税務の処理などが挙げられます。

また、破産者である法人・会社の代表者や役員は、破産管財人の調査や管財業務に協力しなければならない法的義務が発生します。

STEP 7 債権者集会

破産手続開始後、一定の期間が経過すると債権者集会が開催されます。
債権者集会では、債権者に対して、破産管財人から破産財団の状況や破産手続きの進行についての報告が行われます。

この債権者集会には、担当裁判官、破産管財人、破産者である法人・会社の代表者、その代理人弁護士、債権者が参加します。

債権者集会では、債権者からの質問があり、それに対して代表者等が直接回答するということもあります。

第1回の債権者集会までに破産管財業務が終了している場合、配当すべき破産財団がなければ異時廃止により破産手続が終了し、配当が可能であれば、配当の手続きに進んでいきます。

法人の破産では、ほとんどの場合で第1回のみで終了することは少なく、第2回、第3回と幾度かにわたって債権者集会が行われることが多くなっています。

STEP 8 手続きの終了

上記のように配当すべき破産財団がない場合には、異時廃止により破産手続が終結します。

他方で配当可能な財団がある場合には、配当手続が行われ、破産手続の終結決定がなされます。

破産手続にかかる期間

破産手続にかかる期間は、会社の状況や財産の内容によって大きく異なりますが、目安としては6ヶ月から1年くらいとなっています。

弁護士への相談から裁判所への申し立てまでで3ヶ月程度、裁判所に申し立ててから手続き終了までで3ヶ月から9ヶ月くらいが目安の期間となっています。

法人破産を行うメリット

法人破産のメリットは債務者と債権者の双方にあります。
ここでは、破産者たる債務者のメリットを中心に説明をしていきたいと思います。

1. 資金繰りの悩みから解放される

債務を抱えて倒産の危機に瀕している法人・会社の場合には、資金繰りの状況が芳しくないという状況がほとんどとなっています。
破産手続は清算型の手続であることから、法人の存続を前提としないため、資金繰りの必要がなく、精神的な負担も減らすことができるというメリットがあります。

2. 督促から解放される

上記の法人破産の流れでも説明いたしました、弁護士が受任通知を送付することによって、以後の督促の連絡窓口が受任弁護士となります。

貸金業者や債権者は法人や代表者に直接督促せずに、弁護士に連絡することになるため、以後の督促を受けなくことで、精神的な負担を減らすことができます。

3. 代表者個人も免責される

会社代表者が連帯保証人となっている場合には、債権者は会社代表者に対して保証債務の履行を請求することが可能となります。

そのため、法人の代表者は法人そのものの債務だけではなく、自身の債務としての対応に追われることとなります。

しかし、法人破産をする場合には代表者についても破産申立てをするのが通常であり、法人の破産と同時に代表者の債務も免責されるため、代表者個人としての経済的再建が期待できます。

法人破産の費用はどれくらい?

法人破産に必要となる費用の目安について、解説いたします。

法人破産の流れでご説明をさせていただいた通り、法人の破産には弁護士との委任契約が必要となるため、まずは弁護士費用が発生します。
そして、その後に破産管財人である弁護士に予納金を納付しなければなりません。

ここでは弁護士費用と予納金に焦点を当てて解説をしていきたいと思います。

1. 予納金

そもそも予納金とは、破産手続きを進行させるための費用のことであり、主に破産管財人の報酬に充てられるものとなります。

福岡地方裁判所では、一般的に、破産申立人弁護士の弁護士費用と同額程度の予納金(管財費用)を納める運用がなされています。
具体的な額については、事案の詳細によって異なりますので、破産の相談をする際に弁護士に確認されることを推奨いたします。

2. 弁護士費用

弁護士費用の金額は、負債総額や債権者の数に応じて決定します。
一般的には100万円程度が相場となっています。
当事務所における費用についてはこちらをご確認ください。
なお、法人破産は事案の複雑さ等の個別事情によって、弁護士費用は異なりますので、詳細についてはご相談時にお聞きください。

3. その他の費用

上記の費用以外には裁判所に収める費用として、手数料(収入印紙)、郵券、官報広告費などがあります。
これらの費用は2万円程度となっています。

弁護士法人米盛法律事務所は、法人破産の経験が豊富な弁護士が所属しておりますので、安心してご相談下さい。

また、法人破産に関するご相談に関しましては、初回相談料が無料となっていますので、お気軽に専門の弁護士にご相談ください。
相談のお時間も、夜間や休日も日によってはご予約可能となっていますので、時間が合わないという方も、ぜひ一度ご連絡下さい。