地方に根ざした活動を行う法律事務所もあれば、大規模で全国展開する法律事務所もあります。
どの法律事務所に相談しても弁護士という法律のプロに依頼することはできますが、地元に活動拠点を置く法律事務所がおすすめできます。
ここでは特に債務整理手続の相談・依頼を検討する方に向けて、「地元の法律事務所に依頼すべき理由」を紹介していきます。
債務整理手続は弁護士への依頼がおすすめ
ここでは債務整理手続を弁護士に依頼することを前提に話を進めていきますが、任意整理や個人再生、自己破産などの債務整理手続はご自身で対応することも不可能ではありません。
しかし弁護士に依頼することには多くのメリットがあり、自分自身で対応することには数々のリスクがあります。
まず、どの方法で債務整理を行うのか、弁護士に相談することで最適な方法を知ることができます。
例えば自己破産は最終手段であり、その後の生活にも制約がかかってしまいます。とはいえ早めに判断をしないと破産費用が出せなくなり対応に困ってしまいます。任意整理の場合、早期に手続を終えられますが、債務元本の減額は基本的にできません。
利息や支払時期に関する交渉を主に行うこととなります。
弁護士は、債権者の数や債務の総額など、さまざまな事情を考慮して最良の選択肢を出します。
また、弁護士が債務者の代理人となることで、それ以降の取り立てを受けずに済みます。
弁護士の出す受任通知には取り立てをストップする法的な効果があるからです。
なお、司法書士に債務整理手続の依頼を出せるケースもありますが、利用できる場面は限定的です。制約を受けない弁護士に依頼することで、状況が変わっても問題なく継続してもらえますし、債権者との交渉、裁判に至るまであらゆる法的紛争に対応できます。
地元の法律事務所を選ぶべき理由
「東京に本拠地を置く法律事務所が他県の相談者から依頼を受けてはならない」などと制約は設けられていません。他の地域においても同様です。
ネット検索すれば全国の法律事務所の情報が出てきますし、コミュニケーションツールを使って遠方の弁護士とも容易に連絡を取り合うことはできます。テレビCM、Web広告でよく見かける法律事務所に依頼を出すという選択肢もあるでしょう。
ただ、おすすめできるのは、お住いの地域で活動している地元の法律事務所への依頼です。
他の法律事務所に依頼を行う特段の事情があれば別ですが、まずは地元の弁護士を探してみると良いでしょう。
その主な理由は次の通りです。
- 相談しやすい
- 地方裁判所の運用を熟知している
- 担当者が変わるリスクが小さい
- 費用に差が出ることがある
相談しやすい
同じ「弁護士」という資格を持つ人物でも、人によって取り組み方や対応方法、成果は異なります。
各々技量に違いがありますし、考え方も異なるからです。そのため「誰に依頼しても同じ」と考えてはいけません。
相談のしやすさでいうと、ご自身との相性も重要です。直接対話をしてみて、「なんとなく合う感じがする」と思えることも大事です。
この感覚を肌で感じるには、実際に会う必要があります。地元の法律事務所であれば直接会うのも難しくありません。
また、地元の弁護士であれば文化や風習に対してもおおむね共通の感覚を持てています。
結局のところ、相談のしやすさ、相性などはその個人の問題にはなりますが、地元の弁護士であれば共通項も多いですし、少なくとも物理的な近さに基づく相談のしやすさがあります。
地方裁判所の運用を熟知している
「地方ならではの運用を理解している」というのは地元の法律事務所ならではの良さです。
個人再生や自己破産などは法令に基づく制度であり、日本全国基本的なルールは共通しています。
しかし、細かな手続、制度の運用については、地方裁判所による若干の違いがあります。
個人再生や自己破産は地方裁判所への申立を要しますので、的確な支援を受けるには、相談先の弁護士がその地域における地方裁判所の運用内容まで理解していることが望ましいのです。
担当者が変わるリスクが小さい
多数のエリアに拠点を広げる法律事務所は、所属している弁護士の数も多いです。
規模が大きいことにもメリットはあるのですが、頻繁に担当者が変わってしまうなどのリスクも秘めています。
適切に引き継ぎができていれば大きな問題とはなりませんが、同じ説明を求められたり、余計な手間が生じたりすることもあります。
地元に根ざした法律事務所でも担当が変わるリスクがゼロではありません。
しかしその可能性は下げることができ、将来、別件で相談を持ち掛けたときにも同じ弁護士に対応してもらえるといった安心感があります。
費用に差が出ることがある
遠方の法律事務所に依頼を出した場合、コストが増すおそれがあります。
基本的なやり取りはオンラインで済ませることができても、後々出張費用および日当が発生することがあるからです。
「予想外に直接の対応が必要になった」という場面でコストが増えてしまいます。
法律事務所を探すときに着目するポイント
以上で説明した通り、依頼先は基本的に地元の法律事務所から探すことをおすすめします。
しかしながら、「地元であれば万事解決」というわけにもいきません。
そこで、債務整理手続に関する実績の豊富さ、対応の丁寧さ、レスポンスの早さなどに着目しましょう。
得意とする分野は弁護士によって異なりますので、まずは法律事務所に問い合わせる、またはWebサイトの内容を確認して、取り扱い分野をチェックしてみましょう。債務整理に関する実績が豊富であることは技量を測る一指標となるでしょう。
また、いくら実力や実績があっても対応が悪かったり人としての相性が悪かったりすると、相談時にストレスがかかります。
丁寧な対応をしてくれる人、ご自身との相性が良い人を選んだ方がコミュニケーションも円滑になります。
ほかにも、債権者から取り立てを受けて困っているような状況だと、レスポンスの早さも重要です。
メールや電話で問い合わせたとき、すぐに返答をくれる弁護士である方が望ましいです。
必要なときにすぐ対応してくれる、少なくとも早期対応に努めてくれる弁護士に依頼を出しましょう。