借金に困っている方は、「債務整理」を行うことで問題解決を図ることができます。ただ、債務整理にもいくつかの種類があり、それぞれの手続に必要な費用も、問題を解決するまでに要する期間も異なります。
ここでは債務整理について、各手続きの流れを整理し、「何をするのか」「どれだけ時間がかかるのか」「どれだけ費用が必要なのか」ということをまとめていきます。
債務整理とは
債務整理とは、その名の通り債務の整理を行う手続のことです。
そしてここで言う「整理」とは、ただ借金返済義務等の債務を整理・把握していくだけではありません。これらを整理した上で①当事者間で折り合いを付けて返済計画を立てたり、②裁判所を介して返済計画を立てたり、③裁判所に弁済義務を免除してもらったりするのです。 ①が「任意整理」、②が「個人再生」、③が「自己破産」と呼ばれます。
なお、任意整理や個人再生においても、利息や元金の返済義務が一部免れることもあります。むしろその免除をしてもらうために行う手続とも言えるでしょう。
ただし、いずれにしても「債務整理をしさえすれば借金の返済をしなくて良くなる」などと安易に考えてはいけません。誠実に債権者と交渉する必要もありますし、最大限の返済を提示するよう和解に至りませんし、債務者の行為によっては免除をしてもらえない可能性もありますのでご注意が必要です。
もっとも、この点について、債務整理を弁護士に依頼した場合、各手続において成功確率が高くなることが多いので、まずは債務整理を専門とする弁護士に相談することが大切です。
任意整理について
まずは任意整理について、手続のおおまかな流れや必要な期間および費用を紹介していきます。
おおまかな流れ
任意整理の大きな特徴は、基本的に裁判所が関与しない点にあります。
当事者間の合意により返済計画を立てていく手続です。ただしスムーズな解決を図る上では専門的な知識が欠かせませんので、一般的には弁護士への相談・依頼から始まります。以下で全体の流れを把握しましょう。
1.弁護士への相談・依頼
受任通知を送付し、取立てを止めるとともに取引履歴の開示を請求します。
2. 債務の調査
返済状況や借入先、収入などを把握します。
この際に利息制限法に従って引き直し計算を行い、適切な債務額を算出します。
3. 過払い金がある場合は過払金返還請求
4. 債権者と和解案の交渉を図る
弁護士が返済計画を立案し各債権者に提示をします。
5. 和解 or 特定調停
※特定調停:和解が調わない場合の簡易裁判所による仲裁手続き
6. 返済の開始
ポイントは和解交渉です。弁護士のサポートなく貸金業者と交渉をするのは難易度が高く、一般的には厳しい条件での合意に至ることが多いです。
必要な期間
任意整理に必要な期間は、財産状況や取引先の数によって異なります。取引先数が多いほど交渉にも期間を要します。
返済開始までに3ヶ月から半年、返済期間は3年から5年程度を一つの目安として考えておくと良いでしょう。
なお、特定調停を要する場合にはその手続だけに3ヶ月程度はかかります。
必要な費用
調停を要しない任意整理の費用は、弁護士費用が多くを占めています。
依頼する弁護士によって異なりますが、弊所では1社あたり3万円(税別)でお受けしています。
弊所にご依頼される場合の弁護士費用はこちらのページをご覧ください。
弁護士費用
個人再生について
続いては、裁判所での手続を要する個人再生についてです。任意整理でもある程度の減額が期待できますが、こちらでは厳格な手続や制約がある反面、債務額を大幅に減額することも可能です。
おおまかな流れ
1. 弁護士への相談・依頼
受任通知の送付、債権者への取引履歴開示請求などは任意整理同様
2. 債務の調査
返済状況や借入先、収入などを把握します。
この際に利息制限法に従って引き直し計算を行い、適切な債務額を算出します
3. 裁判所に個人再生の申立て
調査と準備が整ったら、個人再生申立てを行います。
事案によっては個人再生委員が選定されることもあります。この場合には個人再生委員との面談等を行う必要がでてきます。
4. 再生計画案を提出
弁護士が再生計画案を作成し、裁判所に提出する
5. 裁判所による再生計画案の認可の決定
6. 返済の開始
ポイントは再生計画案が認められるかどうかです。返済の見込みがあると評価されること、債権者の多くに同意が得られるような内容としなければなりません。
必要な期間
個人再生の場合、手続におよそ6か月から1年、返済に3年から5年ほどがかかると見ておきましょう。
必要な費用
個人再生の場合も、費用の大半は弁護士費用が占めることになります。
目安は弁護士費用に50万円程度、裁判所に支払う費用に数万円程度です。
なお、弊所では着手金20万円(税別)~お受けしています。
詳しくは、こちらのページをご覧ください。
弁護士費用
自己破産について
最後に自己破産の手続や期間などを見ていきましょう。
こちらは、上記2つの手続きのように債権者による譲歩を得て返済をしていくというものではありません。厳格な手続に基づき、債務の弁済を免れることになります。
そのため、破産が認められれば、債務者は一挙に借金から解放されることになりますが、手続中には一部制約がかかりますし、それまで保有していた財産は強制的に換価される可能性があります。
おおまかな流れ
1. 弁護士への相談・依頼
受任通知の送付し、債権者へ取引履歴開示請求などを求めます。
2. 債務の調査
現在の負債総額を把握します。
3. 裁判所に自己破産の申立て
調査と準備が整ったら、破産申立てを行います。
4. 自己破産手続の開始決定
破産手続開始の段階で、同時廃止事件か管財事件に割り振りがされます。
同時廃止事件の場合には開始決定と同時に破産手続は終結します。管財事件の場合には破産管財人との面談等を行う必要がでてきます。
5. 予納金の納付
管財事件の場合には管財費用を別途納付する必要がございます。
なお、福岡地方裁判所の場合には原則として20万円とされています。
6. 管財人による財産の換価
7. 債権者集会
少なくとも1回は裁判所での債権者集会に出席する必要があります。
もっとも、弁護士も同席しますので心配をする必要はございません。
8. 免責許可決定
管財事件の場合の基本的な流れとしては、選任された破産管財人が財産の処分等を進めていくことになります。
ただし、状況に応じて「同時廃止事件」となる場合や「少額管財事件」となるケースもあります。
少額管財事件ならかかる期間も費用も少なくて済みます。同時廃止事件ならさらに簡素な手続で済みます。
必要な期間
通常の管財事件の場合、半年から1年ほどは期間を要します。同時廃止事件ならもう少し短い期間で終結することが可能です。
必要な費用
同時廃止の場合であっても一定額の予納金を納付する必要があり、予納金がなければ手続は進められませんので、「最終手段として自己破産が残っている」などと悠長にせず、手続費用を視野に入れて計画的に進めましょう。
弊所では弁護士費用として着手金25万円(税別)~からお受けしています。
弁護士費用について詳しくはこちらのページをご覧ください。
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