【弁護士が対応】福岡・天神で借金問題(債務整理)の相談は弁護士法人米盛法律事務所に > 債務整理コラム > 法人破産手続の流れを解説! 必要な期間・スケジュールについても

事業が上手くいかないなどの理由により債務超過に陥り、再建を図るのも困難な状況にある場合、「破産」を検討することになるでしょう。
個人が破産しても自然人としての消滅はありませんが、企業が破産をすると法人格が消滅するなどの違いがあり、特にこれを区別して「法人破産」と呼んでいます。
また手続内容にも違いが出てくるケースが多いです。破産を行う上ではスケジュールを把握して計画的に進めていくことも重要となりますので、法人破産を検討している企業の方に向けて、ここで手続全体の流れや手続が終結するまでの期間について解説していきます。

 

法人破産の手続の流れ

法人破産が完了するまでには様々な手続を行わなければなりません。
裁判所に申し立てる前に債権者に通知を出したり、必要書類の準備をしたり、そもそも破産という選択をとるのかどうかの判断にあたり専門家の意見を聴くなどの過程も必要です。
裁判所に破産を申し立てればすぐに終わりというわけもなく、申立後もしばらく債権者との付き合いが続きます。
破産管財人とのやり取りも行わなければなりませんし、必要に応じて裁判官から尋問を受けることもあれば、何度も債権者集会が開催されることもあります。

 

以下で説明する手続のすべてが、どの企業に対しても必要になるとは限りません。
しかしながらスケジュールを組む上では、破産に関して必要となり得る手続について把握しておく必要があるでしょう。

破産の方針決定

まずは「破産を行うべき状況かどうか」の評価をしなければなりません。
倒産問題に強い弁護士に相談し、自社の状況を見てもらうことが大切です。
債務超過の状態にあるとしても民事再生により再起できる可能性があるかもしれませんし、任意整理により比較的早期の再起ができることもあります。
そのような手続きの利用が可能であれば、破産ではなく法人格を残して事業を継続することができますし、債権者としてもある程度の債権回収ができる利点があります。

 

他方で、事業の継続・再生が不可能な状態に至っているのなら早期に申立等の手続に着手する必要があります。法人破産は個人の破産に比べ、費用が高額になる可能性が高いため、早めの対処をすることで申立費用の確保もしやすくなります。

 

破産の申立を行うことを決めると同時に申立方法も決めます。
株式会社の場合、代表者であっても当該人物1人が勝手に破産を決めるのではなく、“取締役会を開催し、決議を経た上での申立をする”のが原則です。
このように取締役会を開催して会社としての意思決定を行う場合には、破産の可否についての話し合いをしていることが外部に漏れないように注意する必要があります。
これに対し、“取締役会を開催せず、取締役が破産手続開始の申立をする”方法もあります。これは「準自己破産」と呼ばれ、緊急のため取締役を招集する暇もないケースなどで用いられます。

申立日の決定

破産をするとの方針が固まれば、申立日を決定します。

 

すでに資金繰りが厳しい場合には特に、日程調整が重要です。
申立前に一部の債権者から取り立てを受けて弁済するなどの対応を取ってしまうと後の破産手続が煩雑になるおそれがあるからです。

 

必要書類等の準備期間、その他業務との兼ね合いも考慮しつつ申立日を決めていきましょう。

申立費用の確保

破産をするにも費用が必要です。
特に、個人のする自己破産に比べて債権者数や債務額が大きくなりやすい法人破産ではその費用の負担も大きくなりやすいです。

 

申立手数料や予納郵券、官報公告費用など色んな費目がありますが、注視すべきは「引継予納金」です。
その他の費用が数千円から多くても1,2万円程度であるのに対し、引継予納金は数十万円~数百万円にも上ります。

 

数百万円の引継予納金が発生するケースというのは、破産者が大規模な企業であることが想定されますが、中小企業であっても50万円以上はかかるものと考えなくてはなりません。

 

金額に影響する主な要因としては、“債務総額”と“債権者数”が挙げられます。
そのため小企業であっても債務総額が非常に大きい、債権者数が非常に多い、というケースだと100万円を超える引継予納金が発生してもおかしくはありません。

 

ただし、それほど複雑な事件ではなく、弁護士が代理人として付いているなどの要件を満たす場合には「少額管財事件」として取り扱われることもあります。
少額管財事件では引継予納金が大幅に縮減され、多くの場合20万円ほどで済みます。
なお、上記は東京地方裁判所での基準で、弊所の所在する福岡地方裁判所では、少額管財などの運用はされていません。
このように運用基準は地域によって異なりますので、地域の弁護士に相談することをお勧めします。

裁判所へ提出する資料の準備

申立に必要な資料の準備も進めていきます。

 

ここで重要なのは“会社財産の内容を示すこと”ですので、会社がどのような価額のどのような財産を持っているのかを示せる書類を用意することになります。
また、債権債務についても示さなくてはなりません。

 

一般的には、次のような書類が必要になります。

 

  • 破産手続開始申立書
  • 債権者一覧表
  • 債務者一覧表
  • 財産目録
  • 破産の申立を決定した取締役会の議事録
  • 預金通帳
  • 決算書・付属明細書
  • 帳簿
  • 商業登記簿謄本
  • 雇用契約書や賃金台帳
  • 不動産登記簿謄本や固定資産税評価証明書
  • 法人名義の自動車の車検証
  • 各種契約書

 

所有している財産の内容によって用意すべき書類は変わってきますので、詳しくは弁護士に相談してみましょう。指示通り対応していけば問題なく揃えていくことができます。

裁判所に破産の申立

申立書、その他必要書類を提出し、裁判所に破産の申立を行います。
弁護士がいる場合には代理で申立をしてもらうことも可能です。

債務者審尋

 

破産の申立後、「審尋」が行われることがあります。
これは一般に「債務者審尋」と呼ばれている手続で、口頭または書面で意見を述べる機会として実施されるものです。

 

多くの場合、債務者審尋は“破産手続開始の要件を満たしているかどうか”の確認をするために行われます。

 

そのため裁判所から債務者審尋を求められたときには必ず応じるようにしましょう。
審尋において説明を拒んだり虚偽の説明をしたりする行為は特に避けるべきです。これらの行為をしたときには刑罰に処する旨破産法に規定されています。

 

 

(審尋における説明拒絶等の罪)
第二百七十一条 債務者が、破産手続開始の申立て(債務者以外の者がしたものを除く。)又は免責許可の申立てについての審尋において、裁判所が説明を求めた事項について説明を拒み、又は虚偽の説明をしたときは、三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

引用:e-Gov法令検索 破産法第271

 

 

破産法第271条の規定を根拠に、最大で懲役3年・罰金300万円を科される可能性があります。
「懲役3年以下」とは、公務執行妨害や公文書偽造の罪でも法定されている刑罰です。
罰金刑も含め同じ法定刑が適用される行為としては、「取締役による贈収賄」「株主の権利行使に関してした利益供与」などが挙げられます。
このように、債務者審尋における説明の拒絶等は重い罰が与えられる行為であることを認識し、真摯に対応するよう心掛けなくてはなりません。

破産手続開始決定

債務者審尋等を経て、破産手続の開始をするのに問題がないと判断された場合、裁判所が「破産手続開始決定」をします。
それ以降、会社の財産は「破産財団」となります。
そして破産財団を管理する「破産管財人」も選任されます。

破産財団の換価処分

破産管財人は、まず会社の財産調査を行います。
財産の内容が把握できれば、それらを売却するなどして現金化(換価処分)します。満額に届かないにしても、債権者に弁済ができるように用意を進めていくのです。

 

破産者となった会社には、破産管財人に協力する義務が課されます。

債権者集会

「債権者集会」が開かれることもあります。
債権者らに対し破産管財人や破産者が状況の説明をする場として開催されます。

 

債権者集会の招集がかかるのは、大きく①破産管財人等が申立をしたとき、②裁判所が相当と認めるとき、の2パターンです。
①の場合には裁判所に債権者集会の招集が義務付けられます(招集が相当でないと認めるときを除く)。

 

そして債権者集会の期日には、“破産管財人や破産者を呼び出さなければならない”旨が破産法で規定されています。債権者に参加の義務は課せられませんが、債務者である破産者は原則として参加しなければなりません。

 

なお、福岡地方裁判所では、裁判所が非招集型といわれる手続きを選択することがあります。
この場合には、費用は数千円増えますが、破産者が債権者集会に出席せずに手続きが進んでいきます。

債権者への配当

破産管財人は、換価して得たお金を使って債権者に配当していきます。

 

なお、配当が終わるまでは債権者集会が複数回開催されることもあります。

破産手続の終結・廃止

配当も済めば、破産手続は「終結」します。
そして法人格が消滅するとともに債権者に弁済しきれなかった負債も消滅します。
自己破産だと破産手続と併せて免責手続も進めることで債務の免除を受けるのですが、法人破産では破産手続の終結により法人そのものが消滅するため、免責手続は必要ありません。

 

なお、配当するだけの会社財産が残っていないこともあります。
この場合には配当などの手続を行うことなく破産手続は終わります。
このときは「終結」ではなく、「廃止」と呼ばれます。

法人破産のスケジュールについて

 

法人破産が終結または廃止に至るまでには上記の通り多くの手続を行わなければなりません。

 

結局のところ手続に要する期間はケースバイケースですが、3ヶ月~1年ほどで終わることがほとんどです。

 

特に会社財産がほとんど残っておらず換価処分や配当の手続などがあまり行われない場合には3,4ヶ月で済むケースが多いです。
一方で、債権債務関係が複雑で債権者数も多いときには何度も債権者集会を開催することもあります。配当を終え、破産手続が終結するまでに1年以上の期間を要することもあります。

 

ここまではあくまで一般論の説明ですので、詳しくは債務整理に長けた弁護士に直接ご相談ください。

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