法人破産は、裁判所とのやり取りを通して進めていかなくてはなりません。各社内部的に方針を決定しただけでは、その効力は生じません。期間もかかりますし、できるだけ早めに本格的な検討を始めること、計画性を持って取り組むことが大事です。
そこで当記事では、スタート地点である「法人破産の相談」から法人破産の申立」までの流れ、具体的な手続内容をメインに解説していきます。

 

 

法人破産の申立までの流れ

ここでいう法人破産とは、債務超過に陥り事業の継続が困難になるという事実上の状態とは別に、法人がする破産手続を指しています。

そのため一般にいわれる「倒産」とは区別して考える必要があります。

 

法人破産は公的な手続であり、利害関係者も多数発生すると思われます。また、即日実行して手続が完結するものでもありません。

そこで破産をするかどうかにつき慎重に検討を進め、計画性を持って取り組むことが大事です。

 

基本的には次のような流れに沿って進みます。

 

  1. 弁護士への相談
  2. 法人破産の申立日を決める
  3. 法人破産の費用を確保
  4. 法人破産の必要書類の作成・取得
  5. 裁判所に破産の申立

 

各手順の詳細を説明します。

 

手順1:弁護士への相談

まずは弁護士に相談するところから始めると良いでしょう。

 

これは必須の手続ではありませんが、効率的な破産手続を実行するためには重要な過程といえます。

 

そもそも破産をすべきかどうかの評価も適切に行わなければなりません。

この点についても弁護士に相談して、客観的な評価をもらうことをおすすめします。

 

経済状況などをチェックし、再起が不可能と思われるなら破産に向けての準備を始めます。
一方で、再起ができるケースもあります。このときは破産ではなく、再建型の倒産手続を検討することになるでしょう。

民事再生のような再建型倒産手続であれば、会社を消滅させずに済みます。

 

手順2:法人破産の申立日を決める

破産をする意向が定まれば、いつ破産手続の申立をするのか、検討します。

 

資金繰りが厳しい状態にあるのなら日程調整の重要性は増します。

申立が決まっているのに一部の債権者に対して弁済をしてしまうと、その後の破産手続が煩雑になるリスクがあるためです。

 

また、必要書類を準備する期間も必要ですし、本業とのバランスも考慮して申立を行う日程を調整していきます。

 

手順3:法人破産の費用を確保

破産をするためには費用を納めないといけません。すでに債務超過に陥っており、あまり経済的余裕がないと思われますが、破産費用が用意できなければ破産手続は進められませんので要注意です。

 

そのため費用が確保できるうちに破産の検討を始めることが大事で、費用分のキャッシュは残しておくことがとても大事です。

 

もっとも注視すべき費用は「引継予納金」です。
引継予納金には、会社財産を引き継いで管理・処分をしていく管財人に対する報酬としての意味合いがあります。

複雑な権利義務関係を管財人が処理していきますのでそれ相応の報酬が必要になります。

 

仕事量に応じて引継予納金は変動しますので、債権者数や債務額が大きいほど金額は大きくなります。数十万円、数百万円に達することもあります。

 

手順4:法人破産の必要書類の作成・取得

破産手続の申立に必要な書類を準備します。

 

なかでも「破産手続開始申立書」の作成は欠かせません。

 

後は、会社の情報、とりわけ財産関係を示す書類を多数収集していきます。会社財産の内容に応じて準備物も異なります。

 

少なくともそれらの情報をまとめた「債権者一覧表」や「債務者一覧表」、「財産目録」などは作成する必要があるでしょう。

「決算書」や「帳簿」なども重要な資料です。

 

その他次のような書類も必要に応じて用意します。

 

  • 預金通帳
  • 雇用契約書
  • 賃金台帳
  • 不動産登記簿謄本
  • 固定資産税評価証明書
  • 法人名義の車検証
  • 各種契約書

 

具体的にどのような書類が必要になるのか、また作成作業なども弁護士に相談・依頼することで効率的に進められます。

 

手順5:裁判所に破産の申立

破産手続開始申立書、その他添付書類を裁判所に提出して、破産の申立を行います。

 

申立先は、本社所在地を管轄とする地方裁判所です。弁護士がついている場合は、代理で申立をしてもらうこともできます。

 

法人破産申立後の手続について

申立までの流れは上記の通りです。

 

しかし破産手続はこれで終わりではありません。直接的には管財人が進めていく作業が多いですが、破産者である会社にも協力することが法的に求められています。

 

例えば、申立をしてから、破産手続開始決定を受けるまでには「債務者尋問」を受けることがあります。
破産手続開始の要件を満たしていることが提出資料から明らかにならないときは、直接裁判官が会社の方に質問をするなどして、評価を行います。

代わりに弁護士が裁判官とやり取りをして破産手続開始決定を受けられるケースもあります。

 

破産手続開始決定を受けると、会社財産は破産財団となり、会社の管理下から外れます。選任された管財人がそれ以降の管理等の権限を持ちます。

 

必要に応じて債権者集会が開かれます。債権者に対して破産者が状況を説明するための場です。

「管財人が求めたとき」あるいは「裁判所が相当と認めたとき」に開催されます。

 

また、管財人が破産財団を換価して得た金銭は、債権者に配当されます。

債権者は破産による損失を被ることとなりますので、一部でも弁済できる状態にあるのならこれは債権者に返すべきだからです。

 

配当を終え、その後破産手続は終結となります。

 

法人破産に必要な期間

以上の、法人破産の手続全体にかかる期間は、数ヶ月から1年ほどです。

 

もちろん、ケースバイケースではあるため、それ以上に長い期間を要する場合もあります。

債権者の数がとても多く、財産の処分も大変な場合は、期間が相場より長くなってくると思われます。

 

一方で、破産手続の申立時点ですでにほとんど財産が残っていないのなら、管財人のすべき仕事量も少なくなります。

管理すべき財産があまりありませんし、換価するものもほとんどないからです。配当にも手間がかからないため、3ヶ月程度で終わることもあります。